夫婦の話合いで決める ―協議離婚の場合
協議離婚は、日本の離婚全体のほとんどを占めており、もっとも一般的な離婚手続です。協議離婚は、夫婦の話合いにより決めます。夫婦だけの話合いにかぎらず、互いに弁護士に依頼をして、合意をした場合にも、協議離婚となります。合意ができれば離婚届を市区町村役場に提出すれば離婚が成立します。離婚届は、必要事項を記入し、夫婦双方、そして証人として成人2名による署名・捺印が必要です。未成年の子どもがいる場合、親権者を記入する必要があります。この欄が白紙だと受理されません。たとえ相手方に非があっても、夫婦双方の合意がなければ協議離婚をすることはできません。もちろん、離婚届を一方的に出すこともできません。夫婦の一方に離婚の意思がなければ、家庭裁判所に離婚の調停を申し立てることになります。協議離婚に向けた話合いの中でも、慰謝料、財産分与、年金分割、養育費、婚姻費用など直接お金にかかわる要件についてあいまいにしておくと後になってトラブルになる可能性が高くなります。トラブルを避けるためには、それぞれについて金額と支払期日を決めておきましょう。このほか子どもの親権者・監護者、面会交流権についても決めておく必要があります。口約束だけに終わらせないようにするためには、これらの内容を離婚協議書としてまとめ公正証書にしておくとよいでしょう。公正証書が作成されると慰謝料や養育費などのお金が約束どおりに支払われなかった場合でも、合意した内容が裁判所の判決と同じ効力がありますので、強制執行で預貯金や給料などを差し押さえることができます。協議離婚をする際に合意により年金分割手続をとる場合、公正証書を作成する方法以外に、2008年4月1日から、当事者双方が年金事務所に出頭して合意書を提出する方法も可能になりました。この場合、年金事務所で取得する所定の合意書に記載して本人確認書類(①運転免許証、②パスポート、③住民基本台帳カード<顔写真付にかぎる>、④印鑑及びその印鑑に係る印鑑登録証明書、のうちいずれか一つ)を持参して提出します。出頭を代理人に委任することもできますが、その場合には年金事務所で取得する所定の委任状に記載し、委任者本人が署名捺印(実印にかぎられます)し、委任者は、委任者の印鑑登録証明書及び委任者の本人確認書類(①運転免許証、②パスポート、③住民基本台帳カード<顔写真付にかぎる>、④印鑑及びその印鑑に係る印鑑登録証明書、のうちいずれか一つ)を持参することが必要です。