探偵・興信所のトラブルが刑事事件になることがあるか探偵・興所とのトラブルが刑事事件に発展することもあるのでしょうか。
口刑事事件になり得る探偵・興信所の行為によっては、それが刑事事件に発展することは十分にあり得ます。刑事事件になる可能性のある探偵業者の行為については、①探偵業者から依頼者に対する行為、②探偵業者から調査対象者およびその親族に対する行為に分けることができます。なお、被害を受けた方は、その探偵業者を告訴することもできますので、弁護士に相談するか、最寄りの瞥察署に被害届けを出しにいくことをおすすめします。口依頼者に対する行為探偵や興信所担当者が依頼者に対して嘘の説明をして契約を締結させ、お金を払わせた場合には、詐欺罪刑法二四六条が成立するといえます。また、契約締結交渉において、探偵業者が長時間にわたり執拗に契約するよう依頼者に求め、契約を締結しないと帰れない事務所などから出られないといった状況を作り出し、そのうえで無理矢理に契約を締結させたような場合には、強要罪刑法二二三条もしくは逮捕・監禁罪同法二二〇条が成立する場合もあるでしょう。なお、依頼した調査を十分に行わないという事案については、それが詐欺罪に該当する場合もあるでしょうが、むしろ民事責任債務不履行責任の追及本章Q1参照が主たる問題になることが多いと思われます。口調査対象者・その親族に対する行為探偵や興信所担当者が、調査のためとして他人の住居や建造物に侵入した場合には住居侵入罪刑法一三〇条が成立するでしょう。刑法一三〇条は、「正当な理由がないのに、人の住居…・・に侵入」した者は三年以下の懲役または一0万円以下の罰金に処すると定めていますが、「調査のため」という目的が、同条の規定する「正当な理由」にはならないからです。さらに、たとえば「男女を別れさせること」を請け負った探偵業者第一章Q9参照が、調査対象者に対して「別れないと、どうなるかわかっているな」などの危害を加える旨を告げて脅した場合には脅迫罪刑法二二二条が成立すると考えられます。また、そのような害悪の告知をして調査対象者やその親族などを脅迫したり暴行を用いたりして、義務のないことを行わせた場合には強要罪同法二二三条が成立するでしょう。さらに、探偵業者が、調査結果をもとに調査対象者場合によっては依頼者本人に対してゆすりをかけてきたような場合には、恐喝罪同法二四九条。第一章Q11参照に該当します。その他にも、探偵業者が、調査対象者をその意思に反してどこかに連れ去ったような場合には、逮捕・監禁罪刑法二二〇条もしくは略取・誘拐罪同法二二四条~二二九条が成立しますし、 ことさらに調査対象者の社会的評価を下げるような言動をした場合には名誉毀損罪同法二三〇条もしくは侮辱罪同法二三一条が成立します。さらに、探偵・興信所が、嘘や悪評を流すなどして調査対象者の信用を毀損したり、調査対象者の業務を妨害したりした場合には信用毀損・業務妨害罪同法二三三条・二三四条が成立します。