面会交流離婚後も親子が交流する権利
2025/09/05
離婚後は親権者が子どもを引き取って育てるのが原則です。ただ、「親権者」とならなかった側の親にとって子どもと会いたいと思うのは自然なことです。このように、子どもと離れて暮らしている親が、子どもと会って話をしたり、一緒に買い物や遊びに出かけるなど親子が交流をする権利を「面会交流権」といいます。離婚時に面会交流について決めておく必要はありませんが、離婚後に話し合う機会があるとはかぎらないので、離婚時に決めておいたほうがいいでしょう。面会交流の取決めの内容は、まず面会交流ができるかどうか、その方法、回数、日時、場所などです。うやむやにならないように内容は書面に残しておくことをおすすめします。当事者間で話合いによる解決がむずかしい場合には、家庭裁判所に面会交流の調停を申し立てます。調停でもまとまらない場合には審判にゆだね、裁判所に判断してもらうことになります。この場合、家庭裁判所調査官による調査(調査官調査)や試行的面接を行うことがあります。調査官調査では、子どもが面会交流についてどのように思っているのか、面会交流をすることで子どもや監護する親に与える影響などを調べます。試行的面接は、子どもと非監護親が接する様子を表惰や態度で見極めるためにテストとして行われる面会交流のことです。裁判所内に絵本やおもちゃが置いてある専用の部屋が用意され、普段養育していない側の親(非監護親)、子どもがそれぞれどのような態度をとるか、交流状況について子どもを養育している側の親(監護親)が確認することができます。調停で決められる面会交流の内容については、非監護親と子どもが監護親を交えることなく直接面会し、日帰りで行われるのがもっとも多く見られるケースです。回数については、「毎月第〇土曜日に」といったように月1回とすることが多いですが、もちろん、毎週、月2回という頻度もありますし、子どもが長期休暇時に非監護親の自宅に泊まることもあります。親同士の対立が激しい場合で、円滑な面会交流が当事者間だけでは行えないような状態であれば、弁護士や、公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC<全国各地>)、特定非営利活動法人親子となりのコミュニティーづくりネットワーク(FLC<大阪>)などの、面会交流の援助を行う第三者の関与を定めて面会交流を行うことも、有効なものと考えられます。
養育費のこと
2025/09/05
どちらが親権者・監護者になるか親権・監護権とは子どもをもつ夫婦が離婚をする際に最優先で考えなければいけないことが、「子どもをどちらが引き取るか」という「親権」「監護権」の問題です。親権とは、成年に達してない子どもを監護・養育する権利です。つまり、一緒に住んで、教育やしつけをし、財産を管理し、その子どもの代理人として法律行為を行うことです。本来は父母が共同して親権を行使しますが、離婚するとそれができなくなるため、父母のいずれかを親権者として決めなければなりません。親権には、「身上監護権(居所指定権、懲戒権、職業許可権等)」と「財産管理権」が含まれます(155ページ図参照)。このうち、親が子どもを監護し教育する権利・義務である「身上監護権」のことを個別に「監護権」と呼んでいます。監護権とは、親が親権をもつうち(子どもが成人に達するまで)は子どもと近くにいて、子どもの世話や教育をする親の権利・義務、わかりやすくいえば、子どもが一人前になるまで同居して身の回りの世話をする権利・義務といってよいでしょう。
面会交流が認められないケースも
2025/09/05
面会交流は非監護親の権利ですが、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と定められており(民法766条1項)、面会交流を認めることが「子どもの福祉」にとって望ましくないと裁判官が判断した場合、審判では認められないこともあります。典型的なものとしては、非監護親による子どもの連れ去りのおそれ、非監護親による子どもへの虐待のおそれ、非監護親の監護親への暴力等、非監護親に酒乱、薬物使用などの問題行為・違法行為が存在する場合などです。判断能力のある子どもが非監護親に対して、明確に恐怖、嫌悪、拒否等の感情を示し、面会交流を拒否している場合にも、否定されることが多いと考えられます。両親間の対立が激しい場合、特に監護親が面会交流に強く反対している場合には、子どもの心身の成長状況などさまざまな事情を考慮します。そのままの状態で面会交流を実施するとかえって悪影響を及ぼす場合には、面会交流が認められない場合があるといえます。とはいえ、親権等の争いのある事案では、両親間で対立があるのが多いと考えられ、常に面会交流が否定されることにはなりません。その他、監護親の監護教育方針に問題があるわけではないのに、その方針に介入し続け、監護親による監護教育に支障が生じ、子どもの精神的安定を害するおそれが強いなどの場合にも、面会交流が否定されることがあります。なお、非監護親による養育費の不払と面会交流の実施とは、性質の異なる問題であり、関連するものとして考えることは原則できません。しかし、非監護親にとって不利な事情になると考えられます。このように、面会交流が裁判所に認められるかどうかは、さまざまな個別事情を総合的に考慮して、子どもにとって面会交流を行うことが本当に適切かどうかという視点から判断されることになるといえます。
面会交流
2025/09/05
離婚後も親子が交流する権利離婚後は親権者が子どもを引き取って育てるのが原則です。ただ、「親権者」とならなかった側の親にとって子どもと会いたいと思うのは自然なことです。このように、子どもと離れて暮らしている親が、子どもと会って話をしたり、一緒に買い物や遊びに出かけるなど親子が交流をする権利を「面会交流権」といいます。離婚時に面会交流について決めておく必要はありませんが、離婚後に話し合う機会があるとはかぎらないので、離婚時に決めておいたほうがいいでしょう。面会交流の取決めの内容は、まず面会交流ができるかどうか、その方法、回数、日時、場所などです。うやむやにならないように内容は書面に残しておくことをおすすめします。当事者間で話合いによる解決がむずかしい場合には、家庭裁判所に面会交流の調停を申し立てます。調停でもまとまらない場合には審判にゆだね、裁判所に判断してもらうことになります。この場合、家庭裁判所調査官による調査(調査官調査)や試行的面接を行うことがあります。調査官調査では、子どもが面会交流についてどのように思っているのか、面会交流をすることで子どもや監護する親に与える影響などを調べます。試行的面接は、子どもと非監護親が接する様子を表惰や態度で見極めるためにテストとして行われる面会交流のことです。裁判所内に絵本やおもちゃが置いてある専用の部屋が用意され、普段養育していない側の親(非監護親)、子どもがそれぞれどのような態度をとるか、交流状況について子どもを養育している側の親(監護親)が確認することができます。調停で決められる面会交流の内容については、非監護親と子どもが監護親を交えることなく直接面会し、日帰りで行われるのがもっとも多く見られるケースです。回数については、「毎月第〇土曜日に」といったように月1回とすることが多いですが、もちろん、毎週、月2回という頻度もありますし、子どもが長期休暇時に非監護親の自宅に泊まることもあります。親同士の対立が激しい場合で、円滑な面会交流が当事者間だけでは行えないような状態であれば、弁護士や、公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC<全国各地>)、特定非営利活動法人親子となりのコミュニティーづくりネットワーク(FLC<大阪>)などの、面会交流の援助を行う第三者の関与を定めて面会交流を行うことも、有効なものと考えられます。
その他
2025/09/05
専業主婦の方や生活保護受給者などが親権を希望する場合に問題となるのが経済状況ですが、公的援助や養育費などで最低限の生活は保証されることから、あまり大きな問題とはなりません。これに対し、子どもの成長に必要なものとされる面会交流が実施されているかなどは、親権者の適格性判断において一定程度考慮されることになります。子どもの親権者について争うことになった場合には、経済状況を示す資料として源泉徴収票、確定申告書、給与明細書等、自身の健康状態を示す資料として診断書、住居の状況を示すものとして間取り図、子どもの心身の発育状況、健康状態を示す資料として母子手帳、診断書、現在の通園・通学先における状況を示す資料として保育園・幼稚園の連絡帳、学校通知表などの提出を求められることがあります。
きょうだい不分離
2025/09/05
きょうだいは、心理的なつながりが強く、共同生活により得られる経験が心身の健全な育成に役立つことが期待できるため、同じ環境で同一人により養育監護されることが望ましいという考え方です。ただ、この基準はほかの基準にくらべ、それほど重要なものとはされておらず、親や子どもの意思などから、親権者を分離することもあります。
子の意思の尊重
2025/09/05
親権者・監護権者は、子どものために決定するものである以上、子どもの意思を尊重するという考え方です。子どもが15歳以上の場合は、裁判所が調停や裁判をするにあたり、子どもの意見を聴取する必要がありますが、それ以下の年齢の子ども(10歳程度が目安とされています)でも、子どもの意思を把握するよう努め、年齢及び発達の程度に応じてその意思を考慮する必要があると法律上求められています。
現状の尊重(継続性)
2025/09/05
監護者の変更は、監護する親や学校や友人など、子どものそれまでの生活環境を一変させ、子どもに大きな精神的負担を与える可能性があるため、現在の子どもの養育監護環境が安定しており特段問題がないのであれば、現状の養育監護を継続することが子どもの福祉にとって望ましいという考え方です。ただし、親権者・監護権者を決定する前に監護していた者が有利となると、子どもを無理矢理連れ去るなどの違法行為を助長することにもなるため、違法な連れ去り行為は、親権者の適格性判断において、不利な事情として考慮されることになります。
母親(母性)優先
2025/09/05
乳幼児の心身の健全な育成にとっては、母親の愛情と養育が重要であり、母親による養育監護が望ましいという考え方です。もっとも、生物学上の「母」という存在ではなく、母親的役割つまり「母性」という役割が重要として、母性優先ともいいます。そのため、父親が子育てに深くかかわり母性的役割を果たしている状況があれば、その他の事情にもよりますが、父親が親権者とされることもあります。
親権者の適格性判断の基準要素
2025/09/05
親権者の適格性判断の基準として、「母親(母性)優先」「現状の尊重(継続性)」「子の意思の尊重」「きょうだい(兄弟姉妹のこと)不分離」などがあるとされています。
親・子ども双方の事情を考慮して決める
2025/09/05
夫婦に成年に達しない子どもがいる場合、夫婦のどちらが親権をもつか決めないと離婚届が受理できないようになっています。協議離婚の場合は、話合いにより夫婦のどちらか片方を親権者と決めます。しかし、親権をめぐって折り合いがつかない場合には、家庭裁判所にいる調停をもとに親権者を決めることになります。調停でもむずかしい場合には、裁判所の判断にゆだねることになります。家庭裁判所が親権者にふさわしいかどうかを判断するにあたっては、父母側、子ども側双方の事情を考慮します。父母側の事情としては、父母の年齢、性格、健康状態、これまでの監護養育状況や今後の監護意欲、生活状況(職業、資産や収入、生活態度など)、生活環境(住宅、居住地域、学校など)などがあります。他方、子ども側の事情としては、子どもの年齢、性別、心身の発育状況、生活環境の変化への適応性、子どもの意思、父母、きょうだいとの関係性などがあります。家庭裁判所においては、このような双方の事情をふまえて親権者にふさわしいかどうかを判断しています。
親権・監護権とは
2025/09/05
子どもをもつ夫婦が離婚をする際に最優先で考えなければいけないことが、「子どもをどちらが引き取るか」という「親権」「監護権」の問題です。親権とは、成年に達してない子どもを監護・養育する権利です。つまり、一緒に住んで、教育やしつけをし、財産を管理し、その子どもの代理人として法律行為を行うことです。本来は父母が共同して親権を行使しますが、離婚するとそれができなくなるため、父母のいずれかを親権者として決めなければなりません。親権には、「身上監護権(居所指定権、懲戒権、職業許可権等)」と「財産管理権」が含まれます(155ページ図参照)。このうち、親が子どもを監護し教育する権利・義務である「身上監護権」のことを個別に「監護権」と呼んでいます。監護権とは、親が親権をもつうち(子どもが成人に達するまで)は子どもと近くにいて、子どもの世話や教育をする親の権利・義務、わかりやすくいえば、子どもが一人前になるまで同居して身の回りの世話をする権利・義務といってよいでしょう。